日本未病学会/健康と病気の間を科学する
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理事長挨拶
写真:日本未病学会 理事長 吉田 博
日本未病学会
理事長 吉田 博

理事長就任にあたって

このたび引き続き理事長に就任いたしました東京慈恵会医科大学の吉田博です。まず会員および社員の皆様方のご協力、ご支援に心よりお礼を申し上げます。また皆様におかれましてはCOVID-19への対応もあって大変にご苦労されていることと拝察いたしますが、このような時だからこそ改めて未病への対策が大切であると感じる次第です。本学会は2019年に日本未病システム学会から日本未病学会に改名し、さらなる発展に向けて取り組んでおりますので、引き続き皆様のご協力、ご高配を何卒よろしくお願い申し上げます。

前身の日本未病システム学会が発足して四半世紀以上が経ちましたが,高齢化率25%以上の超高齢社会の現在、世の中の「未病」への関心の高まりが強く感じられます。「健康寿命の延伸」が叫ばれるなか、一方で「持続可能な社会保障,国民皆保険制度を守る」ことも求められています。例えば医療においては、「Precision medicine」、「Choosing wisely」やWHOが2018年11月に発信した「EDL、EMLなどの基本的な医療に必要なエッセンシャルリスト」などの考え方が注目されてきていますが、これはすなわち、限りある医療資源を効率的に機能させることに関連していて、持続可能な社会保障へのあり方でもあります。またそうしたなかで、「脳心血管病予防に関する包括的リスク管理チャート」が2015年に提示、2019年に改訂され運用されています。その基本的な考え方は、生活習慣の包括的管理による危険因子(肥満・メタボリックシンドローム,血圧高値,高血糖,血清脂質異常など)の改善です。さらに2018年12月には,「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中,心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」が成立し、近年の急激な人口高齢化に伴う喫緊の課題である高齢者の健康寿命延伸を考慮し,高齢者における脳卒中・循環器疾患予防のための対策と高齢者特有の留意点が加えられています。65歳以上の高齢者の健康を守るコンセプトにおいて、フレイル・サルコペニア・ロコモティブシンドロームは重要な課題であるとともに、75歳までの基本健康施策としてメタボリックシンドロームへの対応も欠かせません。そのためには、食事・栄養や身体活動などの生活習慣や居住および社会環境に目を向けた施策をはじめ、病気を未然に防ぐことや疾病の悪化を防ぐ未病対策が重要です。以上のような心血管疾患とそのリスク因子の他にがんなども合わせた非感染性疾患とともに、現在世界的に流行して大きな社会問題になっているCOVID-19をはじめとして感染性疾患のいずれにおいても、普段の健康の維持増進と未病への対応が基盤となります。したがって、「健康と病気の間」すなわち「未病」を認知して科学し、多職種の医療者がチームとなってケアする未病への取り組み、すなわち本学会の活動は基本的に不可欠です。

未病には自覚症状はないが検査で異常が見られる西洋医学的未病と、自覚症状はあるが検査では異常がない東洋医学的未病があります。健康と病気の間を捉える場合、Disease(疾病・疾患)、容易ならざる状態とは異なり、Illness(病気・体調不良)、気分が優れず何となく普段と違う段階はセルフメディケーションがより働くステージであり、これらの一部も未病域に入ります。社会構造の観点からは、病院完結型医療のCureから地域包括医療のCare,さらにその先には地域包括未病ケアがあり、これもまた有機的に連続する未病対策です。

2018年には本学会から発信している未病のテキストが「未病医学標準テキスト」として改訂され、未病認定医および未病専門指導師が年々徐々に 増加してきております。本学会はともに歩む志をもって、医師、歯科医師、薬剤師,臨床検査技師,栄養士,看護師,東洋医学、機能性食品分野、メンタルヘルス、運動エクササイズ、疫学・公衆衛生学分野など多くの職種の方々が集まり,「チーム未病」として皆が知恵と力を合わせて実り多い活動を推進し、社会の期待に応えて参ります。そして本学会がこれからの未病の対策を持続的に支えていくために、若い世代を含めた幅広い分野の方々の活躍を期待しており、ダイバーシティやインクルージョンを大切にするコンセプトのもと活動してまいりますので、皆様の未病学会へのご参画とお力添えを何卒よろしくお願い申し上げます。

東京慈恵会医科大学 臨床検査医学講座 教授
東京慈恵会医科大学附属柏病院 副院長・中央検査部診療部長

「未病」の由来
「未病」という言葉は日本ではまだ聞き慣れない言葉かもしれません。
この言葉は2000年前の後漢の時代に、中国最古の医学書とされる「黄帝内経」 にはじめて見られます。(資料1)
このなかで、「未病」とは「病気に向かう状態」を指し、この未病の時期を捉えて治すことの出来る人が医療者として最高人(聖人)であるとかかれています。
日本では貝原益軒が83歳にして著した「養生訓」に登場しています。

聖人は未病を治すとは、病いがまだおこらざる時、かねてつつしめば病いなく、もし飲食・色欲などの内慾をこらえず、風・寒・暑・湿の外邪をふせがざれば、其おかす事はすこしなれども、後に病をなす事は大にして久し。内慾と外邪をつつしまざるによりて、大病となりて、思ひの外にふかきうれひにしづみ、久しく苦しむは、病のならひなり。病をうくれば、病苦のみならず、いたき針にて身をさし、あつき灸にて身をやき、苦き薬にて身をせめ、くひたき物をくはず、もにたきものをのまずして、身をくるしめ、心をいたましむ。
最近では予防医学への関心がたかまり、辞書にも「未病」という言葉が
普通に掲載されるようになりました。

「病気ではないが、健康でもない状態。
自覚症状はないが検査結果に異常がある場合と、自覚症状はあるが検査結果に異常 がない場合に大別される。骨粗鬆症、肥満など。」 ス−パ-大辞林より
未病の日について
本会では第23回学術総会において83歳で「養生訓」を著した貝原益軒の誕生日を“未病の日”と定めました。
自身の身体のケアをこころがけましょう。
「未病期」の状態
日本未病学会では、(図3)のように「自覚症状はないが検査では異常がある状態」と「自覚症状はあるが検査では異常がない状態」を合わせて「未病」としています。
そして「病気」とは交叉部位である「自覚症状もあるが検査でも異常がある状態」としています。
「未病期」は自覚症状のあるなしで「西洋型未病」と「東洋型未病」に分けることができます。
これまで看護は主に西洋型医療の一貫として、まさしく病気の中心者(患者)と接してきましたが、自覚症状のない西洋型未病期に属する人は多く、いわゆる病気予備軍イコー ル未病期でもあるわけです。

(図3) Y.Fukuo 2000
「未病」の分類・対象

未病はM-ⅠA、ⅠB、ⅠC、M-Ⅱに分類されます。(表1:未病の分類参照)「自覚症状はないが 検査では異常が見られ、放置すると重症化するもの」(M-Ⅰ)と「自覚症状はあるが検査では 異常がないもの」(M-Ⅱ)としています。

M-ⅠAは通常の検査、保険でカバーできるところで異常が確認されるものです。
M-ⅠBは特殊検査で異常が確認されるものです。

自費で行う検査で異常が判明するものとして、M-ⅠCは遺伝子診断によってわかる未病、 M-Ⅱは東洋医学的な未病で「自覚症状があるけれど検査では明確にできない」状態をさします。西洋医学的未病の観点からは、「検査を行うことで発見できる異常状態」です。

未病の対象となるのは、境界域高血圧、高脂血症、境界域糖尿病、肥満、高尿酸、動脈硬 化、骨粗鬆症、無症候蛋白尿、B型肝炎ウィルスのキャリア、無症候性脳梗塞、潜在性心不全、 脂肪肝などがあり、さらに広がることが予想されます。 一方、シンドロームX、インスリン抵抗性はアメリカからきた未病として捉えられ、現在ではメタボリックシンドロ−ムは、まさしく「未病」といえるでしょう。

M-Ⅰ 自覚症状はないが検査で異常が見られ、放置すると重症化するもの    
  1. 検査(一般)で異常があるもの
  2. 特殊検査で異常が見られるもの
  3. 遺伝子レベルで異常があるもの

M-Ⅱ 自覚症状はあるが検査では異常がないもの

「未病期」の看護
当学会では、この未病期から病気への進行を食い止めることを「一次的未病看護」とし、入院患者における重症化の予知、予防、再発予防を「二次的未病看護」としています。
これまでの病気になってからの看護、重症化してからの看護から視点をかえて、「未病看護」が今後の新たな分野といえます。
 
一般社団法人 日本未病学会事務局
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